島原の料理には、長い歴史と人の暮らしが刻まれています。
城下町として栄え、戦乱や火山災害の時代を乗り越えてきたこの街は、湧水と海の恵を活かし、限られた食材を工夫してきました。
この記事では、島原の代表的な郷土料理である、具雑煮・いぎりす・かんざらしについて、また、食べられるお店を紹介します。
具雑煮 ― 城下町に伝わる歴史の味
具雑煮は、島原を代表する郷土料理です。
島原の乱のとき、ありあわせの食材を入れて煮て、民衆にふるまったのが始まりです。
写真は文化10年創業の老舗姫松屋新町店のランチで食べた具雑煮です。
入っている具をあげると、餅・鶏肉・うなぎ・卵焼き・かまぼこ・ちくわ・しいたけ・ごぼう・白菜・三つ葉と、本当にたくさんの具が入っています。
汁はだしがよく効いたあっさり味で、小さく切った餅によくなじみ、おいしいです。

いぎりす ― 海と暮らしをつなぐ保存食
いぎりすは、ヒジキに似た海藻いぎりす草からできる郷土料理です。
いぎりす草を煮て溶かし、油で炒めた魚とにんじんを切って混ぜ、冷やして固めます。
かつては海辺の人々が冬の保存食として作り、祝いの席にも出されたそうです。

国のイギリスとは関係ありません。
島原城そばの中屋商店でいぎりすを食べました。
だしの香りがふんわりと広がります。そのままでもほんのりと塩味がついていますが、わさび醤油をつけて食べます。
島原に行ったのは2007年のこと。当時、気さくなおばちゃんが話しかけてくれました。たまに好き嫌いがあるものの、ほとんどの人が気に入るそうです。調理法も教えてくれました。

かんざらし ― 湧水が生んだ城下町の甘味
かんざらしは、湧水で冷やした白玉に砂糖やはちみつで作ったシロップをかけたおやつです。
明治時代に、暑い夏の日に湧水の冷たさを活かして作られたといわれています。優しい甘さと清涼感は、まさに水の都らしい味わいです。
かんざらしも島原城そばの中屋商店で食べてきました。シロップはさらさらとしてながらも、しっかりとコクがあり、おいしかったです。

島原をさらに楽しむ
島原のランドマーク島原城と、城下町で優雅に泳ぐ錦鯉。島原街歩きの魅力を紹介します。
島原にそびえる雲仙普賢岳。令和の今に伝わる火山災害の記憶と湧水の恵みをたどります。






