都心から少し足を伸ばすと、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような風景に出会える千葉県・香取市の佐原(さわら)。
今回は、重要伝統的建造物群保存地区に指定された美しい町並み歩きから、小野川の舟めぐり、そして東国三社の一つである「香取神宮」までを巡る日帰り旅行に出かけました。
この記事では、佐原エリアの町並み散策&絶品ランチの写真と、実用的な旅行情報として、
- 事前に知っておきたい佐原観光の注意点
- 効率的なモデルコース
を案内します。

香取神宮の旅の記録は後編の記事をご覧ください。
今回のルート
今回のルートはこちらです。佐原駅から徒歩で小野川の開運橋に向かい、上流に向かって歩きました。ランチの後、街並みの中心にある忠敬橋から、バスに乗って香取神宮に向かいました。
まずはここから!佐原駅から小野川へ
成田駅でJR成田線に乗り換えて30分、佐原駅に到着しました。佐原駅は、小江戸の町並みを彷彿とさせる和風建築です。駅前広場やバスターミナルも快適に整備されています。
左側にある銅像は、郷土の偉人・伊能忠敬像です。

近くの観光案内所でバスの時刻表をもらい、歩くこと10分弱で、小野川の川岸に到着します。
まず、開運橋から小野川の上流を眺めて1枚撮りました。町並み保存地区はここから始まります。川の上をボートが走っています。観光船のようなので後で乗ってみることにします。

大きな現代的な建物がありますが、これは病院です。後で聞いたところ、町並み保存が始まる前に建てられたそうです。

歴史を撮る:重要伝統的建造物群保存地区のスナップ
開運橋から少しずつ川を遡っていきます。
開運橋からすぐ、立派な門構えの大邸宅があります。あまりに大きいので1枚に納まりません。窓には木の格子で庇があるのが古い町並みの家々の特徴です。


「木の下旅館」とある右から左に書いてある建物がありました。時間が早いので店はしまっていますが、のぼりやドアの前に立てかけた屋台のようなものがあり、現在も営業中のようです。

木造建築だけではなく、白い漆喰塗りの建物もあります。こちらは、「正上」という特徴的なサインが壁に描かれています。この建物はテナント募集中でした。ちなみに、細い道筋を隔てて隣り合う「正上醤油店」という佃煮屋は営業していました。

佐原のへそ「忠敬橋」と街の賑わい
街の中心部である忠敬橋周辺は、飲食店や土産物屋が集まり、活気がある場所です。佐原駅と香取神宮を結ぶ市内循環バスも、ここ忠敬橋にバス停があります。

忠敬橋を横切るバス通りにも、歴史的な建造物が残っています。
これは、交差点脇にある正文堂です。建築は明治29年で、黒漆喰づくりの元・本屋。現在は、テイクアウトのデザート店になっています。

正文堂から何軒か、古い建物が続いています。正文堂から2軒離れたゴザが立てかけてある家は、蕎麦屋の小堀屋です。正文堂と小堀屋は県の有形文化財になっています。

忠敬橋を反対方向(香取神宮方面)にしばらく歩くと、古民家とは真逆の洋風の建物があります。三菱館です。三菱銀行佐原支店だったこの建物も、江戸の古民家とともに今も残されています。
和の木造建築と、洋風の重厚なレンガ造りが混在しているのも、かつて水運で大いに栄えた佐原ならではです。

忠敬橋に戻り、小野川の上流と下流の景色を眺めました。
左側:上流には、舟めぐりの船着き場があり、さらに奥に源流の山が控えています。
右側:下流を見ると、カーブする川の両岸に、古い民家が立ち並びます。川岸には、「だし」と呼ばれる荷揚げ用の階段をいくつも見ることができます。
日本地図の父・伊能忠敬の足跡をたどる
佐原を語る上で欠かせないのが、江戸時代に日本全国を測量し、初めて実測による日本地図を完成させた偉人・伊能忠敬です。彼が17歳から50歳までを過ごした旧宅が、そのままの姿で残されています。
家の前の階段は、そのまま小野川につながる「だし」です。当時はこの階段を使って舟の荷揚げをしていました。

伊能忠敬は、17歳で伊能家に婿入りし、50歳で隠居するまで醸造業などを営む商人でした。忠敬の時代、利益は何倍にも増えて家業は隆盛しました。そして、村の名主としても活躍します。
商いを行っていたのがこの部屋です。

忠敬は、商人として家業に勤しむかたわら、趣味の暦学の本を取り寄せたり、天体観測をしていました。
ここは伊能忠敬邸の中庭です。さらに奥に庭が続いており、奥行きのある造りとなっています。この広い庭で、趣味の天文観測をしていたのでしょうか。

さらに奥へ進むと、測量器具や、御用旗が展示されていました。
50歳で隠居した忠敬は、江戸に出て、天文学の専門家高橋至時の弟子になります。当時最先端の天文学をすぐに吸収した忠敬は、蝦夷地から順番に日本全国の測量に着手します。
でき上がった地図を見た将軍や幕府の高官に見事な出来栄えを認められ、西日本の測量は幕府直轄事業に格上げされます。これ以降、御用旗を掲げて測量するようになります。

伊能忠敬邸と川を挟んで向かい合うように、伊能忠敬記念館があります。実際に作られた地図など、伊能家に伝わってきた資料が寄贈され、展示されています。
| 公式サイト | 伊能忠敬記念館 |
| 開館時間 | 9:00~16:30 |
| 休館日 | 月曜日・年末年始 |
| 入館料 | 大人500円 小中学生250円 ※PayPay可 (高校生以下の香取市民・香取市内の小中高校の生徒は無料) |
| 駐車場 | なし |

視点を変えて絶景を満喫「小江戸さわら舟めぐり」
町歩きを堪能したら、次は舟に乗って川から観光します。佐原観光の目玉「小江戸さわら舟めぐり」です。

ガイドのお姉さん(!)の説明を聞きながら、モーターボートで川を下ります。舟に乗る最大のメリットは、水面スレスレの極端なローアングルで町並みを見上げることができるところでしょう。川沿いに柳の木が植えられているのが風情をかき立てます。

小野川に架かる橋の中には非常に低いものがあり、スリル満点です。ガイドさんの指示に従って、頭を下げて橋の下を通過します。

4月の中頃は、つがいになって泳ぐ鴨を見ることができます。豊かな自然に触れる一瞬です。

川岸の所々にしだれ桜が咲き誇っていました。水面には桜の花びらが浮かぶ、4月ならではの風景が広がっていました。
舟は、利根川の水門の手前でUターンし、船着き場に戻ります。冬はこたつ付きで見られるそうです。30分の舟めぐり体験で、小江戸の魅力を存分に楽しみました。
| 公式サイト | 小江戸さわら舟めぐり |
| 運転時間 | 10:00~夕方 (季節により終了時刻は異なるので公式ページをご覧ください) |
| 休業日 | なし |
| 乗船料 | 大人1300円 小学生700円(アソビュー!の割引券あり) |

名物!ジャージャー橋の放水シーン
舟の上からの最大の見せ場が、出発時の樋橋(とよはし・通称ジャージャー橋)からの放水です。江戸時代初期に造られた、農業用水を送るための「樋」が始まりで、現在は30分おきにポンプで組み上げた水を放水しています。
ジャージャー橋という通称は、ジャージャーという水音からつけられました。爽やかな水音も動画に収めてきました。
舟めぐりの出発地は、ちょうど樋橋のたもとにあり、放流の時間が出発時間になっています。舟からは、川に向かって勢いよく落ちる水を間近に観察することができます。
川沿いの街や放水の写真を美しく撮影するなら、ミラーレスカメラが最適です。

さらに数百メートル上流に歩くと、道は川から離れます。川沿いの街並みはここが終点です。舟巡りの予備のボートが何艘も浮かんでいる様子が見られます。

佐原グルメ:古民家イタリアンで贅沢ランチ
午前中川沿いを散策し、舟にも乗るとちょうどお昼になったので、ランチにしました。川沿いには、佐原には、歴史的建造物をリノベーションしたフレンチやイタリアンの名店、カフェが数多くあります。
イタリアン「ワーズワース」でランチ
今日は、共栄橋近くのイタリアン「ワーズワース」に入りました。

お手頃なランチから本格的なコース、一品料理も揃っているいます。今日は、食べ歩きを楽しむため、一番少ない1320円のランチを注文しました。パスタには、ホタテとブロッコリーのオイルソース仕立てのパスタを選びます。ホタテの風味とブロッコリーの食感が合います。

和菓子処「たか蔵」で贅沢なごま団子
散策の合間に、街角の小さなお店で食べ歩きスイーツを楽しむのも一興です。和のスイーツの店を見つけました。忠敬橋近くの「たか蔵」です。

たか蔵ではごま団子を注文しました。みたらし団子にたっぷりのすりごまが乗っています。中には餡が入ったボリュームたっぷりのメニューです。

さわら町屋館で
甘いものの後はコーヒーで締めます。休憩スポット「さわら町屋館」に向かいました。古民家を再現したこの場所は、コーヒーの他にもネイルサロンや着物レンタルもある、充実したスポットです。

さわら町屋館には裏庭があり、休日には地元のイベントがここで開催されますが、この日は静かでした。春の暖かい日光のもとで、ゆっくり食後のコーヒーを飲み、香取神宮に出発しました。

【観光実戦ガイド】佐原・香取神宮巡りを攻略する
佐原・香取神宮の旅をスムーズに進めるための攻略情報です。
佐原・香取神宮巡りのモデルコース
1日で佐原と香取神宮を無理なく満喫する、王道のタイムラインです。
- 9:30JR佐原駅到着
小江戸の町並みにあわせた駅舎を1枚撮影するのもGood!
- 9:45観光案内所訪問・現金補充
まず、駅から100mほどのところにある観光案内所で、最新のバスの時刻表と、観光マップを入手!また、近くのコンビニや銀行で現金を引き出しておきましょう!
- 10:00
- 11:30小江戸さわら舟めぐりに乗船
樋橋のあたりに乗船所と切符売り場があります。日中00分と30分に出発です。
- 12:00
- 14:10
- 14:30香取神宮参拝
参道にあるいろいろな店を眺めながら境内に入り、美しい鳥居や本殿をみて歩きましょう。
- 16:00参道で名物「厄落としだんご」休憩
参道には数多くの店があります。名物は厄落としだんごですが、グッズも売っています。気になるお店は一通り巡ってもよいでしょう。
- 16:30佐原駅行の循環バスに乗車
駐車場の入口にあるバス停から、佐原駅行の市内循環バスに乗ります。終発は平日は16:40、休日は17:20です(2026年4月現在)。
- 17:00佐原駅に戻り、帰路へ
市内循環バスは電車との接続がよく、バスを降りてすぐJRのホームに入ると、成田行きの電車が待っています。
アクセスと域内の移動手段
鉄道・バスでのアクセス
JR成田線・佐原駅が最寄りです。
小野川には佐原駅から歩いて行けます。香取神宮へは、佐原駅や小野川の忠敬橋から市内循環バスが出ています。
- 平日は、香取市循環バス・佐原市街地(東側)ルート(1日7便)
- 休日は、香取市循環バス・休日周遊ルート(1日16便)
平日と休日で路線が違うので要注意。1乗車300円で交通系ICカードが使えます。

佐原市街地から香取神宮までは約4kmほど離れているため、徒歩での移動はおすすめしません。
車でのアクセス
車なら、東関東自動車道・佐原香取ICが最寄りです。
🚘️レンタカーで自由にドライブ🚘️
- 香取神宮は佐原香取ICのすぐ近くです。車の場合は香取神宮から回るとよいでしょう。参道前に駐車場があります。
- 小野川沿いの街歩きには、利根川沿いの国道365号に出て、道の駅「水の郷さわら」に駐車すると便利です。道の駅が小野川と利根川の合流地点で、小野川沿いを上流に10分ほど、踏切をわたってすぐのところに、町並み保存地区の端にあたる開運橋があります。
古民家ホテルに泊まる選択肢もアリ
東京から佐原や香取神宮なら日帰りで回れますが、佐原には古民家を改装したホテル『NIPPONIA』などがあります。
人通りが少ない早朝やガス灯が灯る夜の佐原を撮影したい方、古民家レストランでディナーを楽しみたい方は、佐原に一泊することを強くオススメします。
⚠️ 観光の留意点(チェック!)
佐原の街を歩くときに注意したいポイントです。
水・木定休日のお店が多い
佐原の町並みのお店は、水・木定休日のお店が結構あります。他にも、伊能忠敬記念館は月曜日が定休日です。平日に行くときは、これらの曜日を避けると「閉店で残念」が少なくなります。
【重要】必ず現金を用意!
佐原の町並みの商店や、舟めぐりの乗船料、香取神宮の参道など、「現金のみ」の店が数多くあります。
駅前にコンビニや銀行がありますので、現金を引き出してから出発しましょう。
バスの罠!時刻表は絶対確認
香取神宮へ向かう循環バスは、本数が限られており、17時前後が終発となります。
乗り遅れると時間やタクシー代を無駄にしてしまいますので、観光案内所でバスの時刻表をもらうか、最新の時刻表をスマホに保存し、バスの時刻から逆算してランチや散策の時間を決めることが重要です。
街歩きは自動車に注意!
小野川沿いの散歩道は、自動車も通ります。また、忠敬橋を横切るバス通りには歩道がなく、バスや自動車が頻繁に通ります。
散策のときは自動車に十分注意してください。
次の目的地を探すなら…
小江戸の川沿いスナップを楽しんだら、さらに利根川を下って東の果てへ。雄大な海とノスタルジックな銚子・犬吠埼の風景が待っています。





